成長ホルモンの分泌と身長の関連性

身長を伸ばすためには、成長ホルモンの分泌も大事
身長を伸ばすうえで最も重要なホルモンは、名前の通り成長ホルモンです。成長ホルモンはタンパク質やカルシウム等の栄養素を材料を使って、体を大きくするように筋肉や骨の細胞に働きかけているのです。
成長ホルモンの分泌量は思春期になると急激に増えるので、この時期に体は急に大きく成長します。一方、思春期が終わると加齢とともに徐々に分泌量が低下し身長の伸びも止まるようになります。

成長ホルモンの分泌量は思春期に特に増えるから、身長も急激に伸びるんだね。
思春期前の成長ホルモンの分泌量を100とした場合、思春期後期では200程度になり、その後は減少し30、40歳代では50程度に、60歳代では30程度になるといわれています*。
身長がよく伸びる思春期の時期の成長ホルモンの分泌量は圧倒的に多く、身長を伸ばすうえで重要な働きをしているのです。

牛乳に含まれるアミノ酸で成長ホルモンの分泌Up

成長ホルモンの分泌に関与している物質の一つが、アミノ酸のアルギニン
この成長ホルモンの分泌に関与している物質の一つが、アルギニンというアミノ酸。アルギニンは脳にある下垂体を刺激することで、成長ホルモンの分泌を促進させる作用があります。
アルギニンは体内でも作り出すことができる非必須アミノ酸ですが、体内で作り出せる量は少なく食事からも摂取する必要があります。成長ホルモンの分泌を考えると、タンパク質の中でもアルギニンを多く含むタンパク質を摂取することが大切になります。


牛乳のタンパク質には、成長ホルモンの分泌に関与しているアルギニンというアミノ酸も豊富に含まれているね
アルギニンはタンパク質が豊富な鶏肉や豚肉等の肉類に多く含まれますが、海老やピーナッツ、ごま、アーモンドにも多く含まれます。これらの食品に比べると劣りますが、牛乳にも含まれています。牛乳1杯(200g)あたり220mg含まれ、牛乳はカルシウムやタンパク質等の栄養面だけでなく、ホルモン面からも身長に良い影響を与えてくれます。

良質な睡眠で成長ホルモンの分泌Up

成長ホルモンの分泌のためには睡眠も大切
特に寝はじめの3時間が重要だよ
規則正しい生活も、身長の為には大事になるね
また、成長ホルモンの分泌には睡眠が大きく関与しています。1日を通じて分泌はされていますが、睡眠後の最初の深い眠り(ノンレム市睡眠)で急激に分泌量が増えます。特に寝はじめてからの3時間が一日の中で突発的に分泌量が増える時間帯となりますので、この時間帯の睡眠も大切になります。

*Ho,K.K.et al.:Horm Res 40(1-3):80,1993
**日本食品標準成分表2020年版(八訂)
牛乳に含まれるアミノ酸で睡眠ホルモンの分泌Up

寝つきをよくするためには、睡眠ホルモンとよばれるメラトニンの分泌が大事
身長を伸ばすうえで重要な成長ホルモンの分泌には睡眠が大きく関与しますが、その睡眠を促しているホルモンの一つが別名「睡眠ホルモン」とも呼ばれているメラトニンになります。
メラトニンの分泌が多いと寝つきがよくなり、ぐっすりと眠れ、睡眠の質が良くなることがわかっています。つまり、メラトニンの分泌がしっかりとされると、睡眠の質が上がり、成長ホルモンの分泌も促進されることになるのです。

牛乳に含まれるアミノ酸のトリプトファンはメラトニンの材料になるよ
このメラトニンはセロトニンというホルモンが変化したものです。
セロトニンは主にトリプトファンというアミノ酸を材料にして作られています。
そのため、メラトニンの分泌を促進するためには、セロトニンの分泌を増やす必要があり、そしてセロトニンの材料となるトリプトファンの摂取が重要になってくるのです。


牛乳には睡眠ホルモンの材料となるトリプトファンというアミノ酸も豊富に含まれるよ
トリプトファンは体の中で作ることのできない必須アミノ酸ですので、食事から摂取する必要があります。トリプトファンが豊富に含まれる食品は豆腐、納豆、みそ等の大豆製品、ピーナッツ、アーモンド、ごま、卵等です。
またトリプトファンは牛乳から発見されたといわれており、牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品にも含まれています。牛乳1杯(200g)あたりには92mg含まれています*。牛乳は成長に必要な様々な栄養素を含んでいるのですね。

ちなみに、 メラトニンのもととなるセロトニンの分泌は、朝脳の覚醒と同時に始まり、視覚からの光刺激によって合成が促進されます。そしてセロトニン分泌が朝はじまって14~16時間後にメラトニンに変化するといわれております。

メラトニンをしっかりと分泌させるためには、朝に日光を浴びることも大切
規則正しい生活は必須だね
メラトニンをしっかりと分泌させるためには、朝しっかりと起きて、日光を浴びておくことも大切です。また、メラトニンは日光などの明るい光によって分泌は抑制され、夜間であってもとても強い照明を浴びればメラトニン分泌量は低下しまいます。 成長の為には規則正しい生活は必須になってきます。

**日本食品標準成分表2020年版(八訂)
ジャンプなどの運動で骨に刺激を与えて成長を促そう

牛乳とは関係ないけど、ジャンプなどで骨に刺激を与えると骨形成が促進されるよ
身長を伸ばすためには、運動も大事だね
ジャンプ等の運動して、骨の中にある骨細胞という細胞に刺激が伝わると、骨細胞は骨芽細胞に新しい骨をつくるように指示を出します。
この際にどのような物質がどのように関与しているのか詳細はわかりませんが、ジャンプ等の運動により骨が刺激を与えてやると、骨の形成が促進されることは明確になっています。 反対に宇宙滞在が長期化し骨への重力負荷がかからない状態が続くと、骨量は減少してしまうそうです。

どのような物質が関与しているのか詳細はわからないとは記載しましたが、骨に負荷をかけることで結果的に骨の形成と関連性の高いホルモンが上昇することはわかっているそうです。
そのホルモンは骨ホルモンともいわれるオステオカルシンです。
オステオカルシンは骨から分泌されるホルモンで、この数値は骨の形成と関係性が高いということで、骨代謝に関連した検査として用いられているそうです。 オステオカルシンの数値は骨に負荷をかけると上昇するともいわれており、このことからもジャンプ等の運動と骨の形成が関連していることがわかります。
身長を伸ばすためには、運動をして骨に刺激を与えることも大切になってきます。

運動して成長ホルモンの分泌も促そう

運動することにより生成される乳酸は、成長ホルモンの分泌も促進
運動は骨への刺激に加え、成長ホルモンの分泌にも繋がっているよ
また、運動により筋肉が動かされると乳酸が生成されます。乳酸は筋肉が疲れた時にできる代謝物ともいわれますが、この乳酸は脳の下垂体を刺激して成長ホルモンの分泌を促す作用もあります。そのため、運動することで成長ホルモンの分泌量が盛んになるとされています。乳酸は短距離走などの無酸素性の激しい運動でより多くつくられます。
