骨の強化に必要なカルシウムの日本人の摂取量は不足気味

日本人のカルシウム摂取量は不足気味
カルシウムが骨の強化に必要だとわかっていても、なかなか取れていないみたいだね
カルシウムといえば骨を大きくしたり、丈夫にするために重要な栄養素であることは知られています。そのため、成長期になると身長を伸ばすためにカルシウムの摂取は気になりますし、年齢を重ねていっても骨が弱くなってしまうのではないかとカルシウムの摂取が気になってしまいます。
しかし、気になるとはいっても毎日どのくらいのカルシウムを摂取しているのか把握している人は少ないと思います。令和元年の調査結果*を確認してみますと、日本人のカルシウム摂取量は不足気味であることが確認できます。

推奨量と比較してみると、摂取量が少ないことがわかるね
男性では40~49歳で平均442mg、50~59歳で平均471mg、60~69歳で平均533mgのカルシウム摂取量 (推奨量は30~74歳で750mg)
女性では40~49歳で平均441mg、50~59歳で平均472mg、60~69歳で平均539mgのカルシウム摂取量 (推奨量は30~74歳で650mg)

歳をとってカルシウム不足が続くと、特に女性では骨密度の低下に注意が必要

骨の形成にはカルシウムが重要な働きをしているよ
骨は自らのカルシウムを血液へと溶かしだし、溶かしだし分のカルシウムを血液から補うということを繰り返しながら、カルシウムを徐々に古いものから新しいものへと入れ替えています。そうすることで骨を少しずつ新しいものへと作り替えているのです。ちなみに血液からカルシウムを補うことを骨形成、血液からカルシウムが溶けだすことを骨吸収といいます。


カルシウムの不足が続くと、加齢ともに骨粗鬆症のリスクが高まってしまうよ
カルシウムの摂取量が不足すると、血液から補うカルシウムの量(骨形成)よりも骨から溶け出すカルシウムの量(骨吸収)の方が多くなり、骨の密度が低下していきます。骨密度がある程度低下してしまうと骨粗鬆症になってしまいます。

骨吸収・骨形成にはホルモンが関与おり、骨吸収を促進するのが副甲状腺ホルモン、骨形成を促進するのがカルシトニンというホルモンになります。

特に閉経後の女性ではホルモンの影響で骨の形成能力が低下するので、骨粗鬆症には注意が必要
カルシトニンは女性ホルモンと同様な働きをしているため、特に閉経後の女性は女性ホルモンの減少に伴ってカルシトニンも減少してしまい、骨粗鬆症に対する注意が必要となります。骨粗鬆症の治療は病院でしっかりと行う必要がありますが、骨粗鬆症を予防することに牛乳を役立てることができます。

牛乳は簡単に飲むことができ、カルシウムの量が豊富で、吸収率も優れるので、カルシウムを補うには最適な食品ですよ
牛乳は簡単に飲むことができ、カルシウムを豊富に含むので、骨の原料となるカルシウムを補充するにはうってつけの食品です。さらに牛乳のカルシウムの吸収率は他の食品と比べて優れているので、効率よくカルシウムを補うことができます。
カルシウムの摂取基準量と牛乳の豊富な含有量

牛乳1杯で15歳以上の女性なら摂取基準量の約1/3のカルシウムが摂取できるよ
牛乳のカルシウムは豊富だね
1日のカルシウム摂取基準量は30~74歳の男性では750mg、女性では650mg **とされています。これに対して牛乳コップ1杯(200g)には220mg***含まれています。30~74歳の男性においては牛乳1杯で摂取基準量/日 の約29%、15歳以上の女性においては約34%に相当する量が摂取できます。これまでの生活に牛乳1杯増やすだけで、推奨摂取量の達成に近づくことができるようになります。

【カルシウムの1日の摂取基準量と牛乳1杯(200g)に含まれる割合】
年齢 | 男性の基準量 | 牛乳200gに 含まれる割合 | 女性の基準量 | 牛乳200gに 含まれる割合 |
0~5カ月 | 200mg/日(目安) | 110% | 200mg/日(目安) | 110% |
6~11カ月 | 250mg/日(目安) | 88% | 250mg/日(目安) | 88% |
1~2歳 | 450mg/日 | 49% | 400mg/日 | 55% |
3~5歳 | 600mg/日 | 37% | 550mg/日 | 40% |
6~7歳 | 600mg/日 | 37% | 550mg/日 | 40% |
8~9歳 | 650mg/日 | 34% | 750mg/日 | 29% |
10~11歳 | 700mg/日 | 31% | 750mg/日 | 29% |
12~14歳 | 1000mg/日 | 22% | 800mg/日 | 28% |
15~17歳 | 800mg/日 | 28% | 650mg/日 | 34% |
18~29歳 | 800mg/日 | 28% | 650mg/日 | 34% |
30~49歳 | 750mg/日 | 29% | 650mg/日 | 34% |
50~64歳 | 750mg/日 | 29% | 650mg/日 | 34% |
65~74歳 | 750mg/日 | 29% | 650mg/日 | 34% |
*令和元年国民健康・栄養調査 **日本人の食事摂取基準(2020年版) ***日本食品標準成分表2015年版(七訂)
牛乳のカルシウムは吸収も優れるので効率的に摂取できる

牛乳には腸でのカルシウムの吸収を高める機能が備わっているみたい
量だけでなく、吸収力も優れるんだね
牛乳のカルシウムは量だけでなく吸収率も優れます。なぜ吸収率が高いのか、その理由としては主に2つの作用が考えられています。
一つはCPPという物質の働きです。牛乳のたんぱく質が消化される過程でCPPという物質が生成されますが、このCPPにはカルシウムの吸収を高める作用があるのです。一般的にカルシウムは小腸の下部まで運ばれるとほかの物質と結合してしまい溶け難くなってしまいます。そうなると小腸から吸収され難くなりますが、CPPはこの結合を抑えるくれるので小腸の下部でもカルシウムをしっかりと吸収することができるのです。
もう一つは乳糖の働きです。牛乳に含まれる乳糖にはカルシウムの吸収を促進する作用があると考えられています。


牛乳のカルシウムの吸収率は約40%
ほかのカルシウムが豊富な食品と比べても吸収率が高いね
実際に牛乳では、摂取したカルシウムの約40%が吸収されることがわかっています。牛乳と並びカルシウムが豊富なことで知られている小魚(ワカサギ・イワシ)の吸収率は約33%、野菜(コマツナ・モロヘイヤ・オカヒジキ)の吸収率は19%ですので****、牛乳の吸収率の高いことがわかります。牛乳は他の食品と比べて高いので、効率よくカルシウムを体に吸収させることができます。

****日本栄養・食糧学会Vol.51 日本人若年女性における牛乳、小魚、野菜のカルシウム吸収率(1998年)